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基礎・臨床の架け橋を目指して

研究概要

 大きく3つの研究タイプが常に進行しています。第1の柱は、兵庫医科大学ささやま医療センターを会場として、兵庫県丹波篠山圏域の高齢者を対象に行ってきたコホート研究で、すでに6年目に突入しています。研究の主目的は、健康長寿の延伸につながる、フレイル、サルコペニア、認知機能障害の予防に適した生活習慣や臨床背景を明らかにしていくことです。この研究は当科だけでなく、本学整形外科、歯科口腔外科、リハビリテーション学部、薬学部、ささやま医療センター総合診療科、コメディカルの皆様といっしょに行ってきた学際的な研究です。これまでに延べ1,100名の高齢者にご参加いただき、2年間の追跡率は67%で、現在は主に初回調査から5-6年後の追跡調査を実施中です。これまでに英文、和文併せて、24報の原著論文を発表してきました。5-6年後の追跡調査が順調に行われていけば今後も多くの研究成果を世に発表できるものと期待しています。さらに2022年度からは国立長寿医療研究センターを代表機関とする ILSA-J 研究という、国内14の長寿コホート研究共同による多施設共同研究にも参画しており、国内30,000人の高齢者データの統合的解析にも関与しています。

    第2の柱は、基礎研究(免疫老化、心臓老化関連)です。人員不足の中、この8年間で7報の英語原著論文を発表し、積極的に他施設との共同研究も実施しています。当科では私に加え、長澤准教授、庄嶋助教も独立して基礎研究に取り組んでおり、国内において「基礎研究に最も強い総合診療科」の一つを目指しています。

 第3の柱は、臨床研究で、この8年間で4報の英語原著論文を発表しました。高血圧研究で頑張っていた楠先生が大阪歯科大学に異動になり、この領域が現在一番手薄ですが、これまでに蓄積してきた様々な臨床データを有意義に用いて、論文化を進めていきたいと考えています。このような研究活動を通じて、この8年間に、2名が医学博士、1名が理学修士を取得しました。現在も2名が医学博士を目指して研究中です。少なくとも研究活動に関しては、国内で指折りの総合診療科研究室であると自負しています。

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​【修士課程を過ごして】

今野なつみ(関西学院大学理工学研究科生命科学専攻博士前期課程、現:岡山大学大学院免疫学博士課程)

  4回生の卒業研究から修士卒業までの計3年間、新村先生を含め先生方には大変お世話になりました。研究知識、実験手技、全てにおいて未熟であった私を、優しく、時に厳しく指導してくださいました。全くのデータゼロの状態から研究を進めてきましたので苦労した点も多々ありましたが、本学の研究室では得難い、大変貴重な経験となりました。ある種の難点として挙げられる所属人数の少なさが逆に功を奏し、学生の立場でありながら学会発表の機会を多く与えていただけました。最終的には論文という形で修士での仕事を締めくくることができまして、先生方には感謝してもしきれません。修士号取得後の進路として他大学への進学を選択しましたが、今後も総合診療内科での経験を活かすことができるよう精進していきたいと思います。

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